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介護支援ブログ

介護制度について分かりやすく解説しています。介護に関っている全ての方々に役立つ総合介護情報サイト目指しています。現在は主に介護職員処遇改善加算、キャリアパス要件、介護保険施設等の実地指導について執筆中です。

介護保険施設等 実地指導完全対策

実地指導

 

今回は実際の実地指導に向けて、何を準備すべきか、何が実施されるのか、解説したいと思います。

実地指導の基本的な知識に関しては「介護の実地指導とは」にて解説しています。

 

なお、この記事の主な対象事業は以下の通りです。

略称正式サービス種別名
訪問系 訪問介護・訪問看護・訪問リハビリテーション・訪問入浴介護
通所系 通所介護・通所リハビリテーション
入所系 短期入所生活介護・短期入所療養介護・特定施設入居者生活介護
居宅介護 居宅介護支援事業
その他 居宅介護療養介護指導・福祉用具貸与・特定福祉用具販売・住宅改修費支給

 

実地指導に向けて準備するもの

実地指導が行われる際は、あらかじめ実地指導を行う日時を行政の方から知らされます。おおよそ1ヵ月前には通知がきますので、書類等の準備をしておくことがスムーズなやり取りにつながります。では、どのような準備をしておくことが大切なのでしょうか。

 

  • 提出書類の準備

実施指導でチェックされる項目はあらかじめ決まっています。例えば運営規定、契約書、平面図などがあります。これらの規定で決まっている書類は必ず用意しておきましょう。自治体によっては事前に提出する必要があるところもあります。また、勤務表などの提出も求められますので、過去の分なども準備をしておきましょう。

 

利用者の個人記録も提出書類に明記されている自治体も多くありますが、これはあらかじめ「こういうケースのものを用意しておいてください」と指定される場合と、指定されずに当日ランダムに選ばれる場合がありますので、後者の場合は全員分の書類を用意しておくことが必要になります。

 

  • 提出書類の整理

特に利用者の個人記録でよくあることですが、個人記録がきちんと整理されていない場合は、注意される可能性があります。日頃から見やすく取り出しやすくファイリングし、整理しておきましょう。

 

また、書類は日付順に並んでいるのか、他の利用者と様式や並べ方が統一されているのかなど確認も大切です。書類が整理されていれば日々の業務もはかどりますので日頃から意識しておくといいでしょう。

 

  • 必要ないものの片付け

実地指導では、平面図通りに事業所が使われているかもよくチェックされます。必要のないものは極力整理して、健全な運営をしていることをアピールしましょう。

 

  • 心の準備

実地指導ではヒアリングがよく行われます。「○○はどうなっていますか?」「○○の根拠を教えてください」など、書類でははっきりとしないことに対しては口頭で質問をされますので、答えられる職員をあらかじめその場に同席させる、ある程度答えを準備をしておくなどが必要になります。実地指導を受ける前にロールプレイをしておくなど、ヒアリングに対しての準備もしておきましょう。

 

当日のスケジュール

実地指導当日のスケジュールと、チェックされるポイントはどのようなものがあるのでしょうか?

 

実地指導は行政が求めるチェック項目に対して、事業所が答えるような流れになりますので、特に問題なければ半日ほどで終了します。

例えば、朝9時からスタートした場合、11時頃まで書類のチェック、12時まではヒアリングや実地確認(現場の確認)などを行い終了となるケースです。

 

実際に、介護保険施設等実地指導マニュアルに基づいて実施指導当日の標準的なスケジュールを確認してみましょう。9:00に訪問があってから、17:00には指導が終了するスケジュールです。

事前資料をしっかりと準備して、求められたことに素直に対応すればよいのです。終わりが見えていれば、不安もなくなるのではないでしょうか。

 

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[実地指導 当日の標準的なスケジュール(介護保険施設等実地指導マニュアルを基に作成)]

 

しかし、行政職員側に何か不明点などがあると一日がかりで行われることもよくありますので、一概にはいえません。また、不足書類等について見つかるまで探させる自治体もあれば、その時点で書類がなければ「書類不足」として終了になる場合もあります。

 

当日のチェックポイント

重要なチェックポイント

まずは、定められた書類がきちんと揃っているかどうかという点です。事前に用意する書類は決まっていますので、揃っているかどうかをしっかりと確認しておきましょう。それらの書類が完璧に揃っていれば、まず問題ないと考えていいでしょう。

 

重点的にチェックされるポイントは、不正請求が行われていないかどうか、という点です。例えば、訪問系のサービス事業所ではきちんと利用者の自宅を訪問しているか、利用者宅において定められたサービスが行われているか、訪問した職員は適正な資格を持っているかなどを確認されます。これらの点で疑われるような部分や、明確になっていない部分があれば、監査に発展する可能性もありますので注意しておきましょう。

 

事業種類ごとのチェックポイント

施設系と在宅系でチェックされるポイントは異なります。施設系の場合は、人員配置を主に見られます。高齢者の数は常に一定ですので、特に厳しくみられることはありませんが、人員に関してはきちんと数が足りているのかどうかをチェックされる傾向にあります。足りていない場合は適切にサービスを提供できていないと判断されます。

 

在宅系では、不正請求の有無に加えて、さまざまな記録が明記されているのかという点もチェックされる傾向にあります。記録がなければ、実際にはきちんと実施していることも実施していないと判断されますので注意しましょう。

 

もっと細かくヒアリング項目を知りたい方は「実地指導チェックリスト」にて解説しています。 

 

指導項目があった場合の流れ

実地指導では、自分では「完璧に書類を揃えた」と思っていても実際には足りない書類があったり、勘違いしていて違う書類を揃えていたりすることが多々あります。そういった場合は指導を受けることになりますが、実際の指導はどのような流れで行われるのでしょうか?

 

  • 要確認項目や書類に不備がある場合

要確認項目や不足書類等があるものの、不正をしていない場合は、指導を受けることになります。指導はその名の通り間違っている部分を正すことで、それ以上でもそれ以下でもありません。

例えば、ケアプランの作成で本来入れておかないといけない項目が抜けている場合や、訪問サービスにおいて訪問時に規定以上の行為を行っていた場合などは指導の対象となります。

 

実地指導を何の指導もなしに終える事業所はほとんどありません。どの事業所も、なんらかの指導を受けることが大半ですので、指導があっても特に気にする必要はなく、むしろ適正な事業運営のためには必要なものだといえます。

指導自体は当日口頭で指導される場合もありますし、後日書面にて指導される場合もあります。

 

  • 加算・減算への不備がある場合

実地指導時点で加算・減算に対する誤解や認識不足がみつかった場合には、加算・減算に関する基本的な考え方や算定要件の説明等を行政側から受けることになるでしょう。そして、過去の請求に関して自己点検を行い、不適切だった請求部分が過誤調整として取り扱われることになり、過誤調整の結果は、行政に文書で提出することになります。

 

  • 悪質な不正が見つかった場合

もし、実地指導の際に“悪質”な不正請求が見つかった場合には、実地指導マニュアルには「速やかに介護保険法の第5章に基づく実地検査に切替える」と記載があります。これは監査をするという意味です。監査になってしまった場合は、一部効力の停止、指定取消になる確率が高まります。

 

報酬請求指導の元々の目的には、「よりよいケアへの向上に向けた施設・事業所への支援」という項目も含まれます。もし不適切な処理があった場合には、指導に従ってけっして悪質と判断されないようにコミュニケーションを円滑にはかるように気を配って下さい。

  

実地指導の対策

指導を受けないで済むようにするには、実際に実地指導を受けたことがある事業所などにアドバイスをもらうといいでしょう。実際に受けた人からであれば適確なアドバイスをもらえますし、指導を受けて改善されているはずですので、より完璧に近い書類をそろえることができます。

 

その際に注意したいことは、同じ自治体内にある事業所のアドバイスを聞いておくことです。A市では必要でない書類が、B市では必要、ということがよくあるからです。また、介護保険法の改正などによって用意しておくべき書類も変化します。そのためなるべく近い時期に実地指導を受けた事業所だとなお良いでしょう。

 

監査に繋がる場合

実地指導において不正請求が明らかである場合や、不正請求かどうか確認が必要な場合、監査に発展します。よくあるケースとしては、実地指導当日は「一度持ち帰り検討します」と帰りますが、後日書面にて「○月○日監査を行う」旨を知らせてきます。この場合、3日後や1週間後など、非常に近い日時を指定されることが特徴です。その理由としては証拠を改ざんさせない、隠滅させない為だと言われています。

 

行政処分が実施される場合

平成20年度の「全国介護保険指導監督担当者会議」において、行政処分等が実施される場合の基本的な考え方が示されています。故意的に悪意があって実施されているのか、それが組織的であるのか、介護保険のシステムに与えた影響や騙した保険請求額の大きさなどが判断の根源にあることが分かります。

 

行政処分を実施するかの判断は、

  1. 公益侵害性の程度
  2. 故意性の有無
  3. 反復継続性の有無
  4. 組織性・悪質性の有無

以上が基準となっています。

 

また、取消事由については「介護給付費の請求に関して不正」が最も多く、「帳簿書類の提出命令等に従わず、又は虚偽の報告をした」、「設備及び運営に関する基準に従った適切な運営ができなかった」が続いています。不正請求に関しては、詐欺行為という扱いになり刑法の詐欺罪で立件され逮捕に至った事例まででています。

 虚偽の報告・答弁についても、事実を隠蔽していると認識された場合には悪質と見なされます。行政担当官への発言だけでなく、帳簿書類の提出を拒んだり、帳簿書類を破棄した場合も同様に虚偽としての扱いになってしまうでしょう。

 

具体的な行政処分に関しては「実地指導の行政処分事例」にて解説しています。

 

実地指導について、こちらからダウンロードできるPDFファイルがわかりやすくまとまっているのでご参考になるかと思います。ぜひご活用ください。

 

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