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処遇改善交付金とは 平成27年度版 処遇改善加算との違い

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今回は処遇改善交付金について解説したいと思います。

 

平成24年度4月より施行された処遇改善加算の前身の制度であるため、知らなくともこまることはありませんが、現在の処遇改善加算をより深く知るためには必要不可欠な知識と考えられます。

 

主に処遇改善加算と処遇改善交付金の違いに焦点を当てて解説していきますので、「介護職員処遇改善加算とは」を合わせて読むことをおすすめします。

 

 

 

 

処遇改善交付金とは

正式には、介護職員処遇改善交付金事業と呼ばれ、平成24年5月より施行された制度です。

目的としては、処遇改善加算と変わらず、介護職員の給与が上がる仕組みをつくることで、他業種との賃金格差を埋め、雇用の安定をさせることで優秀な人材を確保するためにつくられました。

その背景としては、現在と同じように国民の高齢化に伴う介護ニーズの増大があります。

 

しかし、当時政府が推測していた介護業界の現状は、今日のそれとは少し異なるものでした。

 

現在では、介護業界における離職の原因は、比較的低賃金であることに加え、職場環境や職場内の人間関係が問題視されています。

しかし、当時では低賃金であること、そして女性労働者が多いことが問題視されていました。

当時は、全産業を見ても女性労働者の離職率が比較的に高い傾向にあり、介護業界の女性労働者の雇用を安定させることにより、長期的に安定した雇用を実現しようとしていました。

 

また、処遇改善交付金と処遇改善加算の最も異なる点は、全給付額に対する公金の割合です。処遇改善交付金では、100%公金によって賄われていましたが、処遇改善加算では、90%が公金、10%が介護利用者の負担によって賄われることとなりました。

 

処遇改善交付金から処遇改善加算の変更点

では、2つの制度の相違点について細かく見ていきましょう。

 

仕組み

処遇改善交付金は、

介護報酬総額×交付率(現在の加算率)

を毎月の介護報酬と合計して交付する、というものです。

 

一方、処遇改善加算も、毎月申請されたサービス別の加算額が介護報酬と共に給付される、というものです。

 

交付金と加算共に事業年度ごとの実績報告にする必要がありますが、交付金では計画と実績を比べ余剰があった場合にはその余剰額を返還する必要がありました。一方加算では、計画と実績に余剰があった場合には当該事業年度の支給額は全額返還しなければなりません。なぜなら、加算では、算定した加算額以上を職員に還元しなければならないからです。

 

 

 

余剰金が発生した場合、余剰分を返還しなければならないという点に変わりはありません。

 

事業年度区分

処遇改善交付金の年度区分は、基本的に4月~翌年の3月となります。

そして、交付金額の根拠となる介護サービスは、原則、同じ年の2月~翌年の1月までに提供された介護サービスとなります。

 

年度区分に関しては、処遇改善加算も同じ期間ですが、後半の介護サービスに対する計算方法が異なります。

処遇改善加算では毎月、提供したサービスごとに単位数を計算、円に換算し提出する必要があります。

 

支給要件

処遇改善交付金を最低限取得するための支給要件は、処遇改善加算のそれとほとんど相違点はありません。

 

算定要件、支給金額

支給要件に違いはありませんが、算定要件は大きく変化しました。

処遇改善交付金に関しては、

①キャリアパス要件1または2

②定量的要件

上記①、②の適合状況に応じて、当時の上限15.000円に所定の率を乗算した金額が支給されていました。

 

そして、平成24年度の改定後の処遇改善加算では、

①キャリアパス要件1または2

②定量的要件

上記①、②の適合状況に応じて、加算区分Ⅰ~Ⅲに分類、区分ごとのサービス別加算率によって、上限15.000円に所定の率を乗算した金額が支給されていました。

 

そして、最新の平成27年度の改定後では、

①キャリアパス要件1

②キャリアパス要件2

③新しい定量的要件(職場環境等要件)

上記①~③の適合状況に応じて、加算区分Ⅰ~Ⅳに分類、区分ごとのサービス別加算率によって、上限27.000円に所定の率を乗算した金額が支給されています。

 

それぞれの要件に関しては、「キャリアパス要件とは」「職場環境等要件とは」にて解説しています。 

 

 

上記に加え、基本介護報酬の改正やサービス別加算率の変化がありますが、大雑把な算定要件の変遷は以上となります。

また、平成28年度からは、現在の上限額にさらに10.000円プラスされることがニッポン一億人総活躍プランによって決定されています。

 

詳しくは「介護離職ゼロとは」にて解説しています。

 

事業者の責務

事業者の責務に関しては、交付金、加算に変更点はほとんどありません。

交付金を職員の賃金改善以外の目的で使用することの禁止、交付金給付以前の職員の給与を下回らないようにすること、実績報告をしっかりと行うこと、受給金額に差異が生じた場合その差額を返還すること、資料の保管、労働基準法等の遵守すること。

 

処遇改善加算について、こちらからダウンロードできるPDFファイルがわかりやすくまとまっているのでご参考になるかと思います。ぜひご活用ください。

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