介護支援ブログ

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「介護」が「虐待」にならないために ~認知症高齢者との接し方③~

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認知症高齢者との接し方③ ~介護が虐待にならないために~

 

 

はじめに

前回、前々回と認知症高齢者に対する知識や接する上でのポイントを解説してきました。

今回は、過剰な介護について、やってはいけない介護について、お伝えします。

ご自身や事業所全体の介護を見直すきっかけになれば幸いです。

 

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介護が虐待になる瞬間

介護をしている側にそんな気はなくても「それは虐待だ」と本人やそれを目にしたご家族が感じてしまうケースもあります。

 

それが起こる背景には、介護者に時間的余裕及び心理的余裕がないという2つの原因が潜んでいます。

両者には連動性があり、時間的な余裕のなさは心理的な余裕のなさを生みます。

 

介護を必要とする方は、認知症をわずらっている方もいればそうでない方もいます。意思疎通がうまくできない認知症の方のケアにはどうしても時間がかかる傾向にあります。そんな時、次に介護してあげなくてはいけない方の時間が迫っていると気持ちが焦ってきますね。

 

するといつもよりも乱暴に扱ってしまったり無理強いをするように急かす、声を荒げてしまうということが起こるのです。声を荒げていなくても、傍から見ても角が立つしゃべりかたをしてしまうこともあります。

 

また介護者が、その方との対応に不安や悩みがありそれを一人で抱え込んでいることもありますよね。そこで苦手意識などから対応が冷たくなったり、事務的になるということもあるのです。

 

大きな怪我をさせるような虐待ではなくとも、身体的な虐待に加えて特に精神的虐待が起こりがちなのが介護の世界かもしれません。

 

介護が虐待にならない為に

介護が虐待になってしまわないようにする為には、介護者一人一人ができる事と組織としてできる事があります。

 

  • 個人としてできる事

一番大切なのは、一人で抱え込んでしまわないことです。

周りも忙しそうだと感じるとなかなか悩みを相談できないものです。しかしそれが焦りを生み、結果として虐待を生み出してしまうのです。特に真面目で頑張り屋の方ほど一人で抱え込み、そのストレスから知らぬ間に虐待をしてしまっていることも少なくないといわれます。

 

  • 組織としてできる事

まずは、日頃から余裕をもったタイムスケジュールを組んでいくことです。

介護する側に余裕がないと、良いケアができないからです。毎日てんてこ舞いで時間に追われた精神状態では、介護される側にも良い影響は与えないでしょう。それに加えて、自分の周りの仲間が困っていないかの目配り、気配りを行いフォローすることです。

 

  • 介護対応の1本化と多様化の使い分け

認知症の方の介護は難しいというイメージをお持ちの方もおられるかもしれません。

しかし意思疎通がうまくできない、という点以外は基本的には同じです。誰が接しても同じレベルでの介護ができるように、一人一人の注意点や申し送りを充分に行った上で接することが大切です。

 

最後に

いかがでしたでしょうか? 認知症の方といってもひとくくりにできるものではなく、接し方もマニュアルだけですべて解決するわけではありません。ただ知っておいていただきたいのは、認知症だからといって特別視しないことです。

 

“すぐに忘れてしまう”、“判断能力が落ちる”、“今までできていたことができなくなる”。これらは年齢を重ねれば誰もが経験することであり、自然の摂理です。

 

思い通りにいかないと苛立ってしまったり怒りを前面に出してしまうのは、認知症の方の悲しみや必死のSOSなのです。

 

介護する側も、ときに悩んだり迷うこともあるでしょう。しかし日々「どう接してあげることがその人にとっていいのか」を感じながら介護を行っていくことが大切です。

 

 

認知症加算について、こちらからダウンロードできるPDFファイルがわかりやすくまとまっているのでご参考になるかと思います。ぜひご活用ください。

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