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介護支援ブログ

介護制度について分かりやすく解説しています。介護に関っている全ての方々に役立つ総合介護情報サイト目指しています。現在は主に介護職員処遇改善加算、キャリアパス要件、介護保険施設等の実地指導について執筆中です。

個別機能訓練加算の単位数とは?単位算定のための必須情報

個別機能訓練加算

介護サービスを提供する事業者にとって、加算を取得することは、経営を安定させ、良い人材を雇用するために大切なことです。

「そうは言っても人員配置が整えられるか心配」「手続きが煩わしいのでは」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

介護事業所の皆様や、これから介護業界に参入予定の方のために、個別機能訓練加算の単位数や算定条件など、必要な情報をまとめましたので、ぜひこの記事をご覧ください。

 

 

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個別機能訓練加算の単位数

個別機能訓練加算の概要

まず、個別機能訓練加算について簡単に解説します。

対象となる主なサービスは、通所介護や通所リハ、ショートステイ、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅になります。

あくまでも、在宅生活における自立支援 定されます。

 

個別機能訓練加算(Ⅰは、厚生労働省のサイトで以下のように説明されています。

 

“個別機能訓練加算(Ⅰ)は、常勤専従の機能訓練指導員を配置し、利用者の自立の支援と日常生活の充実に資するよう複数メニューから選択できるプログラムの実施が求められ、座る・立つ・歩く等ができるようになるといった身体機能の向上を目指すことを中心に行われるものである。”

[出典:厚生労働省 通所介護及び短期入所生活介護における個別機能訓練加算に関する事務処理手順例及び様式例の提示について

 

つまり、ADL(Activities of Daily Living=日常生活動作)にあたる、食事や移動、排せつといった、日々生活していく上で最低限必要な基本的な行動が、自宅でできるようになることを目的とした訓練になります。

算定されれば、1日当たり46単位が加算されます。2015年(平成27年)の改正により増額されました。

 

個別機能訓練加算(Ⅱでは、

“身体機能の向上を目的として実施するのではなく、①体の働きや精神の働きである「心身機能」、②ADL・家事・職業能力や屋外歩行といった生活行為全般である「活動」、 ③家庭や社会生活で役割を果たすことである「参加」といった生活機能の維持・向上を図るために、機能訓練指導員が訓練を利用者に対して直接実施するものである。”

[出典:厚生労働省 通所介護及び短期入所生活介護における個別機能訓練加算に関する事務処理手順例及び様式例の提示について

 

こちらはADLより複雑な動作が組み合わさった、高次の生活機能を評価するIADL(Instrumental Activities of Daily Living=手段的日常生活動作)を維持すること、または新たにできるようになることを目的としています。

具体的な例として「自分で電話をかけて美容院の予約をとる」「予約の日時にタクシーに乗って美容院に出かけられる」「かつて趣味として行っていたように、友人や家族へ宛てて絵手紙を描く」などです。

さらに以下のように説明が続きます。

 

“生活機能の維持・向上のための訓練を効果的に実施するためには、実践的な訓練を反復して行うことが中心となるため、身体機能を向上とすることを目的とした機能訓練とは異なるものである。実際の生活上の様々な行為を構成する実際的な行動そのものや、それを模した行動を反復して行うことにより、段階的に目標の行動ができるようになることを目指すことになることから、事業所内であれば実践的訓練に必要な浴室設備、調理設備・備品等を備えるなど、事業所内外の実地的な環境下で訓練を行うことが望ましい。” 

[出典:厚生労働省 通所介護及び短期入所生活介護における個別機能訓練加算に関する事務処理手順例及び様式例の提示について

 

少し難しく書いてあるので、具体的な例を挙げて説明します。

 

個別機能訓練(Ⅰ)の目標を「ベッドに居座った状態から歩行器につかまって立ち上がる」「寝室から風呂場まで歩く」に設定すると、これら1つずつの動作に対する可動域や筋力のための訓練を行います。

(Ⅱ)における目標は「寝室から風呂場まで安定して歩行し、自分で入浴し洗髪できる」になります。

 

段階的にこれらの訓練を行うには、石鹸やシャンプーの泡で滑らないように、しっかり濯ぐことを意識付けるよう繰り返しアドバイスしたり、実際に浴槽をまたぐ訓練をするので、浴槽が必要になります。

逆に言えば、浴室設備がないデイサービスでは入浴や洗髪の反復訓練が行えないので、目標として設定できません。

 

ショートステイにおける機能訓練加算は、デイサービスなどの通所介護における個別機能訓練加算(Ⅱ)と同じ趣旨になるので、算定要件や目標設定、プログラムの内容などはこれにならっています。

算定されれば、1日あたり56単位が加算されます。

 

 

単位の算定方法とは?

単位を取得するまでの流れを解説します。

 

・まずは算定要件を満たすことについて。

個別機能訓練の加算を申請するには、まず人員配置基準を満たし、利用者宅への居宅訪問を行って、個別機能訓練計画書を作成します。

 

“個別機能訓練は、機能訓練指導員(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師。)、看護職員、介護職員、生活相談員その他の職の者(以下「機能訓練指導員等」という。)が共同して、利用者ごとにその目標、実施時間、実施方法等を内容とする個別機能訓練計画を作成し行うものである。” 

[出典:厚生労働省 通所介護及び短期入所生活介護における個別機能訓練加算に関する事務処理手順例及び様式例の提示について

 

上に挙げてある国家資格を持ったスタッフを配置して、利用者のニーズや状態に合わせた個別の計画を作ることになります。

 

その際、忘れてはならないのが居宅訪問です。

自宅でできるだけ自立した生活を維持できるようにするための訓練なので、実際の住居を訪問し、利用者本人や家族のニーズ、自宅における問題点を探ります。

本人の希望が「寝室から風呂場まで安定して歩行し、自分で入浴して洗髪ができようになる」であるとするならば、その障害となっていることは何かを確認します。

例えば「家具の配置によって狭くて歩行器で脱衣所に入れない」あるいは「浴槽の縁が高くてまたげない」などです。

 

この居宅訪問の際に利用されるのが興味・関心チェックシート居宅訪問チェックシートです。

これらのチェックシートを用いて、利用者の短期目標、長期目標を設定し、それに合わせた訓練のプログラムを決めていきます。

ケアマネージャーや主治医と連絡を取ることで、更に情報を得ることができます。

個別機能訓練計画書が作成されれば、利用者本人、場合によっては家族にもその内容を詳しく説明し、同意と捺印を得ます。

その際、なぜその目標を設定したのか、訓練プログラムによってどのような効果が得られるのかについても説明すると、利用者の訓練に対する意欲を高めることにもつながります。

 

算定要件を満たした上で指定権者に申請します。

都道府県や市町村の担当課に必要書類を整えて申請します。

自治体によって提出期限や担当課が異なるので、前もって確認し、早めに届出の準備を始めておきます。

 

・加算算定後に行うこと

個別機能訓練加算が算定されれば、それで終わりというわけではありません。

少なくとも3カ月に1度は利用者の居宅を訪問して、機能訓練の内容や目標をどの程度達成できているかを説明し、モニタリングを行います。

これに伴って、個別機能訓練計画の見直しも最低3カ月に1度行うことになります。

 

 

単位算定の際の注意事項

算定の際にはいくつか注意しなければならないことがあります。

 

・要件を満たすだけでは、加算額は取得できないこと。

個別機能訓練加算において、利用者への説明及び同意がとても重要になります。

捺印をもらった個別機能訓練計画書は監査の時に必要になるので、モニタリングを行い、訓練計画を変更する度にファイルにまとめて保管します。

 

・個別機能訓練加算(Ⅰ)と個別機能訓練加算(Ⅱ)は同時算定が可能であること

“個別機能訓練加算(Ⅰ)については、身体機能の向上を目指すことを中心として行われるものであるが、個別機能訓練加算(Ⅰ)のみを算定する場合であっても、並行して生活機能の向上を目的とした訓練を実施することを妨げるものではない。なお、個別機能訓練加算(Ⅰ)と個別機能訓練加算(Ⅱ)をそれぞれ算定する場合は、それぞれの加算の目的・趣旨が異なることから、別々の目標を明確に立てて訓練を実施する必要がある。” 

[出典:厚生労働省 通所介護及び短期入所生活介護における個別機能訓練加算に関する事務処理手順例及び様式例の提示について

 

つまり、個別機能訓練(Ⅰ)と(Ⅱ)は、同時に加算することが可能です。

しかし気を付けなければならないのは、(Ⅰ)はADLの維持・向上、(Ⅱ)はIADLの維持・向上と、それぞれ目的が異なっています。

そのため、個別機能訓練計画書を作成する際には、目標設定や訓練プログラムの内容について、その点を意識する必要があります。

同時に算定できれば1日あたり102単位の加算になります。

 

 

まとめ

理学療法士などの国家資格を持つスタッフを雇用し、忙しい中でも訓練計画を評価・見直ししなければならず、事業所の方は大変だと思います。

しかし、取得した加算(46、56、102単位)が、機能訓練を必要とする利用者やスタッフに還元されると考えれば、加算申請をする意義が十分にあるのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ケアプランを評価するモニタリングの重要性とは?

介護帳票

介護事業者の皆様。

ご利用者の方の些細な変化にも最適化された介護サービスを行うには、ケアプラン改善のために行う「モニタリング」が非常に大切となります。

そのキーマンとなるのが、介護支援専門員(ケアマネージャー)。

 

本記事では、モニタリングにおけるケアマネージャーの役割等について、事例を交えながら詳しくご説明していきます。

ぜひ一読し、今後の運営にお役立てください。

 

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モニタリングのおさらい

まずはモニタリングの概要についておさらいします。

介護保険におけるサービスはケアプランに沿って提供されます。

ケアプランでは、利用者の状態と希望に合った短期目標と長期目標を設定します。

おおむね短期目標は1〜3カ月、長期目標は6カ月くらいに設定されます。

モニタリングは、この短期目標の進捗状況を確認するとともに、提供されているサービスが現状やニーズとマッチしているか判断するためにケアマネージャーが行います。

 

厚生労働省は

“短期目標を達成するために位置づけたサービスの提供期間が終了した際に、その評価・検証を行う”

としており、具体的にどの頻度で行うか定められてはいませんが、利用者の心身の状態や家庭内の状況が変化した時などは、必要に応じてその都度行うので、1月に複数回行うこともあります。

入所型の介護施設では、大きな変化がなければ3ケ月に1度行っているところが多いようです。

 

 

ケアマネジメントの流れ

ケアマネジメントの流れは以下のPDCAサイクルで表されます。

 

P=PLAN :アセスメントを行い、それに基づいた介護計画の作成

D=DO          :介護計画によるサービスの提供

C=CHECK       :短期目標の評価

A=ACTION      :介護計画の評価に基づいて目標やサービスの変更

 

まず、PLANから。

ケアマネージャーは利用者を訪問し、ニーズや問題点を把握します。

この時に聞き取った情報を基にして、利用者に合ったケアプランの原案を作成します。

 

次のDOでは、各サービスを提供する事業者と連絡を取り、サービス担当者会議を開きます。

利用者本人や場合によっては家族にケアプランの内容を十分に説明し、同意を得ます。ケアプランに基づいて、実際の介護サービスの提供を開始します。

 

CHECKでは、ケアプランのチェックを行います。

利用者宅への訪問や、サービス提供事業所の介護スタッフなどからの情報を通して、提供されているサービスが利用者の現在のニーズ合っているか、短期目標は達成されているかなどを確認し、目標やサービス内容を継続するのか、または変更するのか判断します。

 

ACTIONでは、CHECKに基づいたフィードバックを行い、介護計画に変更があれば、サービス提供事業所と調整します。

また、新しい介護計画について利用者本人や家族と再度面談し、了承を得ます。

 

このように、ケアマネージャーは、利用者と各サービスを結びつける総合的なプランナーの役割を果たしています。

 

 

ケアプランの評価

事前評価としてのアセスメント

ケアプランの評価には2種類あります。

まずは事前評価という意味のアセスメントです。

これは上に書いたPDCAサイクルのPにあたります。

アセスメントとは、利用者の心身の状態、持病や既往歴、居住環境、家族や介護者の有無、これまでどのような経過をたどってきたのかといった客観的な情報と、本人の希望や好み、意欲といった主観的な情報を得るために行われます。

 

ケアマネージャーは実際に自宅を訪問し、利用者本人や場合によっては家族とも面談して、これらの情報から問題点やニーズを探り、目標を設定していきます。

アセスメントを通して事前に情報収集をすることで、利用者にとって最適な介護計画を作ることができます。

 

 

事後評価としてのモニタリング

モニタリングはPDCAサイクルのCの部分になります。

介護サービスの提供によって、できるだけ自立した生活が送れているのか、短期目標をクリアできているのかをチェックします。

また、利用者本人の希望と合致しているのか、身体や精神の状態に変化はないのか、家族や自宅といった環境面において変更はないのかも合わせて確認します。

利用者を訪問するだけでなく、日ごろ利用者の介護をしている介護スタッフやサービス提供者、家族からも情報を得て、総合的に判断します。

 

短期目標が達成されていれば、新たな目標を設定します。

達成されていなければ、目標が現状と合っているのか、問題点はないのかを調査し、継続または変更します。

モニタリングによって介護計画自体に変更がなくても、利用者や家族に報告し、目標の達成度などを説明します。

 

 

モニタリングの重要性

なぜモニタリングが重要なのかというと、大きく2つ理由があります。1つは、利用者である高齢者は、病気や衰弱などによって、少し前までできていたことが、急にできなくなることが多々あるからです。

そうなると、当初のニーズや希望に基づいて提供されているサービスと、現在のニーズにずれが生じてしまいます。

このずれを修正するために定期的にケアプランを評価する必要があるのです。

 

もう1つの理由は、介護の根本的な理念が「できるだけ自立した生活が送れるよう援助する」という点にあります。

短期目標が本人の希望や意欲とともに、自立や介護予防を目的としているので、目標が達成されていないとなれば、効果的なサービスが提供されていないともとれます。

逆に達成されていれば新たな目標を設定し、要介護度が重くなるのを防いでいきます。目標が達成できたということは、利用者にとって励みになり、さらに意欲を引き出すことにもつながります。

 

 

モニタリングによるケアプラン改善事例

では、モニタリングの重要性を裏付けるため、ケアプランの改善事例を挙げてみます。

 

利用者:80代女性 介護度2 一人暮らし

認知症があり同じ話を繰り返し、好きだった読書が急にできなくなったが、問題行動等は見られない。

トイレは自立しており、家の中は歩けるが、息切れがひどく外はほとんど歩かない。

長女が片道1時間半かけて週1〜2回訪ねてきては、食量や調理したものを届けており、入浴も見守るが、月1回程度の入浴にとどまっている。

長女自身が杖を使って歩行しており体調もすぐれないため、利用者は介護認定を受け、サービスの利用を開始する。

内容は、週1回のホームヘルプで調理と安否確認と、同じく週1回入浴付のデイサービス。

 

ここでモニタリングを行い、家族やホームヘルパーにも聞き取りをすると、自宅ではテーブルに乗っているものは食べるが、「冷蔵庫にある食料品や調理したものを食べる」ということが急に分からなくなっており、1週間あたりの食事量が減っているとのこと。

そこですぐにケアプランを変更し、デイサービスの代わりにホームヘルプサービスを増やした。

これによって利用者の食事摂取量も増えてきている。

 

このように、モニタリングによって利用者の急な状態の変化にも迅速に対応することができます。

また、アセスメント時には同レベルだった入浴と食事のニーズが、モニタリングによって食事の優先順位が上がったことがわかります。

 

 

まとめ

事例を通して、ケアプランにおけるモニタリングの重要性をご理解いただけたかと思います。

ケアマネージャーには、モニタリングを行いながら、家族やサービス提供事業者と連携して、利用者にとって最適な内容にケアプランを改善していくことが求められています。

 

【参照URL】

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000049258.pdf

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/02/s0223-8d2.html

障害福祉サービスにおける処遇改善加算について

処遇改善加算

皆さんは、度重なる介護報酬改定毎に、処遇改善加算も変化しているのをご存じでしょうか。処遇改善加算とは、介護職員のみならず、その事業所の運営に大きく影響してくる大切な加算のひとつです。今回は、処遇改善加算について詳しく紹介していきたいと思います。今後、加算をとろうと考えていらっしゃる方は一読お願い致します。

 

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福祉・介護職員処遇改善加算とは

概要

処遇改善加算とは、読んで字の如く、介護職員のパフォーマンスに見合った給与アップを、月額上乗せさせるために、平成24年度から介護報酬に創設された制度です。これは、平成23年度まで実施された※「介護職員処遇交付金」が元になっています。

 

※介護職員処遇改善交付金

平成21年度の介護報酬改定によって、処遇は上方修正されましたが、他の業種と比べて、賃金格差がまた見受けられたため、介護職の離職に歯止めをかけることが難しい状況でした。これらを改善するべく、介護職員の処遇改善に取り組む事業所へ、資金を交付し、介護職員の処遇改善を狙った交付金のこと。

処遇改善加算についてはこちらも参考にしてください。

 

処遇改善加算の目的として、介護職員の給与改善に伴う職定着が挙げられます。しかしながら、介護職の離職率についてみなさんはどの程度ご存じでしょうか。

実のところ、介護職の離職率というのは、特別高いという訳ではありません。むしろ、宿泊業、飲食サービス業などの対人サービス業務に従事している人のほうが圧倒的に離職率は高く、その離職率は平成25年で脅威の30%を超えています。その点、医療福祉の離職率は、13.9%と、半分以下ですので、この離職率を理由に、「あえて処遇を改善しなければならない」という結論にはなりません。

 

介護職を辞めた理由の多くは、職場の人間関係、事業所の運営方針など、雇用管理を原因とする離職理由が多いという結果があります。

 

つまり、処遇改善加算というものは、表向きでは「給料を上げるからみんな頑張ろう!」といったものですが、処遇改善加算を算定するために必要な事業所体制を整えることは、ある種、働きやすい事業所を作るといったことにも繋がります。どちらかというと、介護職のイメージを変えるためというよりは、介護業界特有の人材問題を変えるための処遇改善加算と見て取っていいでしょう。

 

他にも、これからの社会は、2025年には1/4が高齢者、2042年には高齢者数3900万人という恐ろしい時代が必ずやってきます。そのためには、地域包括ケアシステムが稼働し、地域での支え合いのサポート体制を作る必要がありますが、変化に柔軟に対応できるような人材を確保していく必要があります。

 

そのために、求職者が働きやすい、プロ意識、やりがいをもって働けるような職場環境を目指す必要がありますので、こういった社会背景の問題を解決するために作られた制度ともいえるでしょう。

 

平成27年(2015年)の制度改定について

改正変更点

平成26年度までの処遇改善加算は、加算の種類が3種類で加算Ⅰ・加算Ⅱ・加算Ⅲでしたが、これを、平成27年度からは、「加算Ⅰ」「加算Ⅱ」「加算Ⅲ」「加算Ⅳ」の区分分けに変更しています。従来の加算Ⅰは、新設された加算Ⅱに。従来の加算Ⅱは新設された加算Ⅲに。従来の加算Ⅲは、新設された加算Ⅳへと算定要件が変更になっています。

 

改正前の賃金改善イメージ

平成27年度の改正では、月額最大27000円の給与アップが期待されていました。一般には介護職には人材が集まらない状況が続いている状況が理由の1つとして挙げられます。そのため、現在働いている介護職員に負荷が極点化し、そのスタッフ一人当たりへの労働力が多すぎるという問題が頻出しています。そのため、現場のスタッフからは「労働力に見合ったサラリー」を求める声が少なくありません。

 

平均給与額の変化

平均して給料は増えた、しかし労働力の対価としてはまだ充足しない。ということが現場の正直な感想ではないでしょうか。

 

そもそも、処遇改善加算とは、対個人に対しての加算ではなく、対事業所に対する加算ですので、加算算定が算定できたとしても、その加算分上乗せされた賃金を、どのように振り分けるかは事業所運営側次第になります。そのため、実際には増えていないと感じる人もいれば、目に見えて増えたと思う人様々です。

 

さらに、ここ数年は、介護報酬改定毎に、処遇改善加算が上方修正され、徐々に給料も上がっている傾向にありますが、実際には、高齢者の数もうなぎ上りで増加しており、一人当たりが抱えなければならない利用者の数も毎年増えてきているのも現状です。

 

よって、当初の処遇改善加算のイメージが、そのまま介護職員に汎化されてはおらず、平行線を辿っている、高齢化社会に対して応急的な対応に留まっているといっても過言ではないでしょう。

 

処遇改善加算の現制度について

対象サービス

以下に表をまとめていますのでご参照ください。

サービス

加算Ⅰ(%)

加算Ⅱ(%)

加算Ⅲ(%)

加算Ⅳ(%)

訪問介護

8.6

4.8

加算Ⅱの90%

加算Ⅱの80%

訪問入浴介護

3.4

1.9

通所介護

4.0

2.2

通所リハ

3.4

1.9

地域密着型通所介護

4.0

2.2

短期入所生活介護

5.9

3.3

短期入所療養介護(老健)

2.7

1.5

短期入所療養介護(病院)

2.0

1.1

特定施設入居者生活介護

6.1

3.4

介護老人福祉施設

5.9

3.3

介護老人保健施設

2.7

1.5

介護療養型医療施設

2.0

1.1

定期巡回・随意時対応型訪問看護

8.6

4.8

夜間対応型訪問看護

8.6

4.8

認知症対応型通所介護

6.8

3.8

小規模多機能型居宅介護

7.6

4.2

認知症対応型共同生活介護

8.3

4.6

地域密着型特定施設入居者生活介護

6.1

3.4

地域密着型介護老人福祉施設

5.9

3.3

複合型サービス(看護小規模多機能型居宅介護)

7.6

4.2

 

また、対象外サービスは以下の通りです。

「訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、福祉用具貸与、介護予防訪問看護、介護予防リハビリテーション、介護予防居宅療養管理指導、介護予防福祉用具貸与、居宅介護支援」

 

対象職種

対象職種は以下の職種になります。

  • ホームヘルパー
  • 生活支援員
  • 児童指導員
  • 保育士
  • 職業指導員
  • 地域移行支援員
  • 就労支援員
  • 訪問支援員
  • 介護職員

 

※一般に、介護事業所などでは、介護職員に多く処遇改善加算のプラス分が振り分けられる傾向があるようです。実情、介護士の人材不足が慢性的ですので、処遇改善加算は、介護士が優遇されるケースが多くなっています。

 

算定要件 

算定要件については、キャリアパス要件を満たす必要があります。

キャリアパス要件とは

キャリアパス要件とは、厚生労働省によって定めされた、より充実した事業運営のためのルールのようなもので、以下のように定められています。特に処遇改善加算Ⅰについては、キャリアパス全て満たす必要がありますので、注意してください。

 

キャリアパスⅠ

1) 介護職員の任用の際における職位(役職)、職責、または職務内容に応じた任用等の要件を定めていること
2) 1に掲げる職位(役職)、職責または職務内容に応じた賃金体系について定めていること
1、2の内容について、就業規則などのもので書面で明確にし、周知していること 


キャリアパスⅡ

次の1または2の条件を満たした計画を作成していること                      
1) 資質向上のための計画にそって、研修機会の提供または技術者指導などを実施するとともに、介護職員の能力評価を行うこと                                        

2)資格取得のための支援を行うこと
上記の内容を全ての介護職員に周知していること

 

処遇改善加算の加算要件については、加算種別によって満たすべき要件が違いますので、下記を参照にして下さい。

第119回社会保障審議会介護給付費分科会資料

 

算定届出

算定の届出については、いくつか注意点があります。処遇改善加算の届出は、算定を受ける毎年度ごとに届出をする必要があります。そのため、前年度加算の算定を受けていたとしても、今年度の届出がない場合は加算の算定を受けられませんので注意してください。

また、平成28年4月から算定を行う場合は「介護職員処遇改善計画書」等の届出を平成28年2月29日までに行う必要があります。

(詳しくは各都道府県のホームページをご参照下さい。)

 

まとめ

今回は、処遇改善加算について紹介いたしました。

 

平成27年から新設された処遇改善加算ですが、平成29年からはさらに加算が上方修正され、システムもより複雑になっていきます。介護職員の慢性的な人材不足の改善、定職化を図るための重要な加算のひとつですが、皆様の事業所は、うまく処遇改善加算を取り入れることができているでしょうか?

 

先述しましたが、介護職員の定職化は、働きやすい職場環境です。給料がよいことはもちろんですが、1番は働きやすく、やりがいのある職場を作るということです。今一度、処遇改善加算を改めて熟知し、事業所の在り方を考えてみてはいかがでしょうか。今回の記事が参考になりましたらシェアをお願い致します。

 

処遇改善加算について、こちらからダウンロードできるPDFファイルがわかりやすくまとまっているのでご参考になるかと思います。ぜひご活用ください。